MOTIF

Owned Art vol.01
大井秀人

NEW PURE+

自宅のアート作品
当時は今ほどカジュアルなギャラリーがなく、アートを飾ることへのハードルが高かった。

アート作品を「所有したい」と最初に思ったのは、いつ頃ですか?

20代前半はバンド活動をやっていて、定職についたのが 25歳。小さなアパレル会社でした。その後 28歳の時に友人服飾デザイナーの店を開店することになり、アート的なものごとがファッションと近く感じ 興味がでてきました。雑誌で言えば「STUDIO VOICE」や「Relax」等が人気で、よくグラフティアートの特集があり、その頃から自宅にも素敵なアート作品を設置してみたい思いがでてきました。
しかし当時は今ほどカジュアルなギャラリーがなく、画廊 = アート(現代美術)= 高額のイメージがあり自宅にアート(原画)を飾ることへのハードルが高かったと思います。2000年に入っての30歳頃近所にあった家具屋の展示イベントに参加されていた作家「小町 渉」さんと出会い、ダークでロックな世界観の作品がすごく気に入り、当時店舗改装を考えていた壁紙に使用する為の絵を制作依頼しました。その際に描いていただいた原画を購入したのが最初の1点になりました。

小町 渉さんのシルクスクリーン作品。

小町 渉さんのシルクスクリーン作品。

自宅は自分の常設ギャラリーのようでとても心地良い。

アート作品を購入することに至った決め手はありますか?

現在所有している作品は、ほとんど運営している展示スペースで、展示をしていただいた作家さんのものです。作品を購入する際はもちろん直感なのですが、購入当時の生活状況で作品購入ポイントの変化がありました。
4、5年前 妻と娘の三人家族にプラス青い鳥(インコ)が家族の一員だった頃(現在は違う世界へ)は、青い鳥が描かれている作品に出会うと、自分達の為に描かれた作品だと思い購入したり、また家族三人に見える作品があると これまたうちの家族が描かれていると購入しました。勝手に自分史にあう作品購入方法も結構楽しめるのです。

所有しているアート作品はどのように楽しんでいますか?

自宅は自分の常設ギャラリーのようでとても心地良いです。ただ今まで気に入った作品をその都度空きスペースに設置してましたが、今後もっとバランスよく緑も並べ、さらに心地良い空間にしていきたいと思っています。

青い鳥の作品や家族三人に見える作品たち。 坂巻 弓華さんの作品。娘と青インコ(ラムちゃん)が飛び立っていく様に見える。

上__青い鳥の作品や家族三人に見える作品たち。下__坂巻 弓華さんの作品。娘と青インコ(ラムちゃん)が飛び立っていく様に見える。

まだ出会っていない好きなアート、自覚もしていない好きな物ってまだまだあるかも?

オンライン上で展示や作品を見ることと、実際に生で見ることの違いはありますか?

音楽のライブ配信なんかは自宅でも充実した音響設備環境があれば、かなり楽しめそうな気もするのですが、アート展示のオンライン鑑賞は作品の質感もあり 生と比べ全然違うと思います。やはり良い作家、作品は展示空間の空気感も含めて、ぐぅっとあちらへ持って行かれますので、展示作品はやっぱり生で楽しんでもらいたいです。

どんなアート作品をこれから所有したいと思っていますか?

先日こんな事がありました。前情報なくフラっと美術館へ行った際に、初めて観る作品があったのですが、その時 思いもよらない自分のある感覚がムクムクと立ち上がり「うゎー自分が好きな作品ってこんな感じやー」と言うことがあってビックリしました。
感覚で楽しむアート作品。net検索しようのない まだ出会っていない自分が好きなアート、自覚もしていない好きな物ってまだまだあるかも?と不思議な気持ちになりました。自分も知らない刺激的な作品に出会いたいし、迎え入れたいです。

(左から)中村 桃子さんと玉川 桜さんの作品。偶然ここに2点並べたが、どちらも乙女の葛藤が描かれているのか? 展示会場で描かれた、谷口 菜津子さんの作品 と、グループ展「大恐竜博」にて初めて手に入れた 片岡メリヤスさんの ぬいぐるみ。

上__(左から)中村 桃子さんと玉川 桜さんの作品。偶然ここに2点並べたが、どちらも乙女の葛藤が描かれているのか? 下__展示会場で描かれた、谷口 菜津子さんの作品 と、グループ展「大恐竜博」にて初めて手に入れた 片岡メリヤスさんの ぬいぐるみ。

その時に良いと思ったものが、その時点で正しい選択。

あなたにとって「Owned Art(所有しているアート作品)」は、どんな存在ですか?

今まで培った感性、感覚を使い直感で選んだ作品に囲まれた生活は心地良く、誇りです。自宅に眺めの良い窓が、どんどん増えていっている感じです!

アート作品をこれから購入する方に向けてアドバイスなどありますか?

とにかく直感で選び、まずは1点所有していただきたいです。直感とは自身の経験上から生まれてくる自然な感覚なので、その時に良いと思ったものがその時点で正しい選択だと思います。ギャラリー空間で見る作品を自宅に連れて帰り、設置してみると生活感溢れる部屋空間に作品のエネルギーがぐっと飛び出てきて空気を変えてくれるはずです。
そして 作品を所有することで、個人的に作家さんとの距離も縮まり、その後の作家さんの活躍ぶりも含め楽しめますよ。混沌したこの時代 アートにもっと触れ まだ立ち上がっていない自分の感覚に出会ってもらいたいです。

(左から)ヌトグランさん、神保 賢志さん、最後の手段さん、そして 最後の手段さん+片岡メリヤスさんのコラボ作品。陶器作品は、増田 光さん、ちえちひろ さん、DAISAKさんの作品。 ヌトグランさんの作品。家族3人に見え、しかも鳥。

上__(左から)ヌトグランさん、神保 賢志さん、最後の手段さん、そして 最後の手段さん+片岡メリヤスさんのコラボ作品。陶器作品は、増田 光さん、ちえちひろ さん、DAISAKさんの作品。下__ヌトグランさんの作品。家族3人に見え、しかも鳥。

大井秀人(NEW PURE+)

SHOP・PURE+ を1995年1月 大阪南船場にオープン 〜 2009年 大阪中之島にてクローズ。2015年2月14日 6年振りにPURE+ あらため、NEW PURE+(ニューピュアプラス)として大阪北浜で再オープン。1階 - Select Shop(常設)/ 地下 - Chika No Akichi(フリーな場)。
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